『東アジア長期経済統計』全15巻(勁草書房 2000年~2024年)
渡辺 利夫 氏(拓殖大学名誉教授) 監修、
拓殖大学国際開発研究所アジア情報センター 編
この度は歴史と伝統ある大平正芳記念賞を賜りましたこと、大変光栄に思っております。大平正芳記念財団の皆様、審査をしていただいた選考委員の先生方、また本書の刊行まで様々な形でご尽力下さった方々に心から感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。
本プロジェクトは拓殖大学百周年記念事業の一つとしてスタートし、25年の歳月を経て完成の運びとなったものです。監修者である渡辺利夫先生の全面的な、渾身の力を込めたご指導の下、17名の執筆者が協力して企画を進めてまいりました。
東アジアの長期的な発展過程を追求するに際して、制約となってきたのが長期経済統計の不在でした。1950年代から1970年代までの苦闘の開発過程においては、統計整備にまで手が回らなかったのでしょう。統計は多くの国において欠落しており、さらに各国で用いられる統計概念は多様でした。私たちは、各国政府、国際機関が公表した統計を能うる限り収集し、バンコクのESCAPをはじめ現地に赴きデータを補いました。さらに適切と思われる統計学的手法を駆使して欠落部分を推計し、相互を比較可能にするよう統計概念の整合化を試みたのであります。その上でそれぞれが担当したテーマで分析論文を加えました。かくしてなったものが本シリーズ『東アジア長期経済統計』全15巻です。
拓殖大学の全面的なサポート、25年間と言う長い間一緒に伴走してくださった勁草書房の宮本様にも感謝の言葉しかありません。具体的な作業で中心的な役割を演じていた梶原弘和教授が完成を待たずに逝去されました。三度の飯より数字が好きで、嬉しそうに完成した統計を眺めていた姿が私たちの目に焼き付いております。本シリーズの完成を天国の梶原先生にようやくお伝えすることができてほっとしております。
ご協力を頂いたすべての皆様に重ねて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
監修者(渡辺利夫)略歴
昭和14(1939)年山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。同大学院経済学研究
科修了。経済学博士。筑波大学教授、東京工業大学教授を経て拓殖大学に奉職。専門は開発経済学・現代アジア経済論。著書に『成長のアジア 停滞のアジア』(吉野作造賞)、『開発経済学』(大平正芳記念賞)、『西太平洋の時代』(アジア・太平洋賞大賞)、『神経症の時代?わが内なる森田正馬』(開高健賞正賞)など多数。