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第31回 受賞作及び受賞者名

『東アジア液晶パネル産業の発展 : 韓国・台湾企業の急速キャッチアップと日本企業の対応』(勁草書房 2014年)

赤羽 淳(あかばね・じゅん(横浜市立大学国際総合科学部国際マネジメント研究科准教授)

韓国、台湾、日本の各液晶パネル企業の事業展開を横断的に捕捉

 このたびは、拙著が第31回大平正芳記念賞を賜ることになり、身に余る光栄を感じております。大平正芳記念財団の関係者の皆様、運営・選考委員の先生方、そして諸先輩方と同僚に厚く御礼を申し上げるとともに、今日まで支えてくれた家族に感謝の意を表したいと思います。
   本書は、過去10数年にわたって展開された液晶パネル産業における韓国・台湾企業のキャッチアップとそれに対する日本企業の対応を描き出したものです。1980年代に圧倒的な競争力を誇った日本の電子・電機産業は、その後、多くの製品・部品で東アジア企業のキャッチアップを受けるようになりました。本書がとりあげた液晶パネル産業も、そうした事例のひとつです。
 アジアの産業研究では、これまで特定の国・地域を深く追究する研究が多かったなかで、本書の最大の特徴は、韓国、台湾、日本の各液晶パネル企業の事業展開を横断的に捕捉したことです。具体的には、韓国・台湾企業のキャッチアップ過程の共通点と相違点を解明するとともに、日本企業がなぜキャッチアップされてしまったのか、その要因も明らかにするように努めました。その結果、マーケティングに長けた韓国企業、追随戦略に徹する台湾企業、垂直統合型のものづくりに拘った日本企業といった三者三様の特性をある程度、あぶり出せたのではないかと考えております。まだ多くの課題が残されているとは思いますが、本書が提示した分析視角と結果は、ボーダレス化が進んだ時代の中で、今日的な意義を伴ったのではないかと自負しております。
 私にとって、初の単著で大平正芳記念賞をいただきましたことは、大変大きな喜びでございます。また過去の受賞者のお名前を拝見すると、私が尊敬してやまない先生方も数多くいらっしゃり、まさにこの上ない名誉なことと存じております。同時に、本日から自分も受賞者リストの末席に加わったかと思うと、改めて緊張感を感じる次第でございます。今回の受賞を励みに、今後もさらなる研究に精進してまいりたいと思います。

略歴
1993年東京大学経済学部卒業。1995年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。2010年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)。1995年株式会社三菱総合研究所入社。その後、主任研究員、プロジェクトリーダーなどを経て、2012年4月より、横浜市立大学国際総合科学部・国際マネジメント研究科准教授。主要業績 ”Hyundai Motor’s Global Market Strategy”, The Journal of Korean Economic Studies, Vol.11 pp.1-17 December, 2012、台湾TFT-LCD産業の発展メカニズム」(佐藤幸人編『台湾の企業と産業』アジア経済研究所 pp.67-98 2008年12月)他多数。

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