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第25回受賞作及び受賞者名

特別賞

 “East Asian Regionalism” (Routledge 2008年)

Christopher M. Dent(クリストファー・M・デント)(リーズ大学東アジア学部教授)

 <東アジアの地方主義―豊かでパワフルな経済発展>

 この度は、拙著『東アジアの地方主義』に大平正芳記念賞特別賞を賜り、まことに光栄に存じます。財団評議会の先生方、選考委員の先生方、ご関係の全ての方々に心よりお礼申し上げます。研究者は誰でも自らの研究が認められることに大きな喜びを見出しますが、私は今回特に、大平賞のような栄誉ある賞をいただいて心躍る気持ちです。
 東アジア地域、特にその経済的発展、即ちどのようにして東アジアが世界で最も豊かでパワフルな経済地区の一つとなるに到ったのかということに、私は国際政治経済研究者として長きに亘って多大な興味を抱いてきました。東アジア地域の発展のため、他のどの国よりも大きな貢献をなさったのが日本でしょう。東アジアにおける地域社会の建設・発展に対する日本の継続的なご貢献に敬意を表さずにはいられません。
 本書では、政治経済的、また文化社会的にそれぞれの国が相互に関わりあっていた東アジアが一つの地域としてまとまっていく道筋を考察しています。この道筋は国際的なコンテキストにおいてご理解いただけると思います。東アジアは、ほんの数十年前まで、どちらかと言うと貧しく問題の多い、世界経済のごくわずかな部分のみを担う地域でした。それが今日では世界で最もダイナミックで多様な経済地区であり、世界経済においても主要な地位を占めています。東アジアで起こることは、世界中に大きな影響を与えるのです。これが、私がこの地域の研究を不可欠と考える理由の一つです。
 東アジアにおける地域社会建設の道のりには多くの障害が横たわっていますが、これを実現させる過程は世界的に非常に重要な意味を持つと考えます。より強力な国際社会を築いていく上で地域社会の建設がどれほど大切な土台となりうるかということ、また、それが21世紀の人類が直面する世界的な問題、例えば環境に配慮した開発事業やエネルギー安全保障、貧困の終焉などに取り組む上でいかに重要な意味を持つかということについて、今回賞をいただいた拙著やその他の研究において述べて参りました。他の東アジアの国や、我が国イギリスを含む世界中の国との密なる協力関係の中で、日本は地域社会の建設過程において鍵となる役割を担うことになるでしょう。
 大平正芳記念賞は私の研究分野において最も栄えある賞ですので、自分の研究が大平賞をいただくに値すると認められたことを心より光栄に存じます。財団からの温かいご支援に対し、ここに改めてお礼を申し述べます。

略歴
英国国立リーズ大学東アジア学部所属 教授。専門は東アジアにおける国際政治経済学。
 東アジアおよびアジア太平洋地域における国際政治学を研究の中心に捉え、研究業績としてはEast Asian Regionalism (Routledge, 2008)、China, Japan and Regional Leadership in East Asia (editor, Edward Elgar, 2008)、など主な著書9冊に加え、学術専門誌等への掲載研究論文は50を超えている。また、研究の傍ら、アドバイザーとして、英国、オーストラリア、チリ、米国の政府機関および欧州委員会に対して貿易等に関する助言を行うとともに、招聘講師として、アジア、欧州、北米、南米、アフリカ、中東、オセアニア各国地域で行われた学会その他で講演を行っている。さらに、Evian Group の専門家会員としても知られている。

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