「Major Challenges to Japan’s Soft Power as a Means of Successful Public Diplomacy- A Current East Asia Context」
Monir Hossain Moni (モニル・ホサイン・モニ)(アジア太平洋世界研究所 (APIGS, バングラデシュ国・ダッカ市) 研究教授)
刺激的な分野で最先端の研究
私がこの研究助成へ応募するにあたっては、受賞に値する正当な根拠が沢山あったので、著名な大平記念賞が私の研究調査に授与されることが決まったことを聞いたとき、驚きはしませんでした。
実際に私は、「アジア太平洋地域グローバル学際研究」という懐が深く、刺激的な分野で最先端の研究をしています。特に、東アジア地域に集中し、日本-その社会文化、政治経済、国際関係、多国籍企業、に光を当てています。課題が多く、変容するグローバリゼーションの時代の中で、南アジアへ拡大し続ける日本独特の開発協力に係る貢献はもちろんのこと、世界の差し迫った課題との取組をも取り上げています。私は、私の専門領域の一環として、「パブリック・ディプロマシーを成功させる手段としての日本のソフトパワーの主要な課題:東アジアの現況」というタイトルの、この大平記念賞受賞研究を完成させたいと思います。私の研究の主たる目的は二つあります。第一に、東アジアの競争社会における日本のソフトパワーに立ちはだかる障碍を、主として今日の中国との接点において検証します。第二に、この地域において一貫して首位の座にある日本の「経済外交」は別にして、アジア全域に向けた日本の文化外交の将来の可能性を明らかにします。日本は長い間、偉大な「民生大国」で有り続けていますが、この定性的な研究では、21世紀の外交政策としては不可欠の要素である「ソフトパワー」と「パブリック・ディプロマシー」を分析の骨組みとして展開することにより、どうすれば東京が地域と世界の両方で日本のソフトパワーをもっとうまく活かせるか、を示せることでしょう。この論文は、適切な情報を整理し、調査質問を組み立て、主要な問題点を特定して、確たる結論を提供します。私は現在、日本の「文化の中心地」として知られる古代の首都、京都にある国際日本文化研究センター(日文研)に外国人研究員として所属しており、それはこの企画を実践するのにきっと大きな利点となるでしょう。
この大平記念賞の受賞は、私を鼓舞し、日本関連の学術研究で大いなる成果を上げるために努力し続けることを促すだけではなく、高尚だが、時間がかかり、難解だがやりがいのある仕事に取り組む私に新たなスタミナを与え、邁進させてくれるものと、固く信じています。
最後に、大平正芳記念財団が私と私の研究所に素晴らしい光を当てて下さったことに深く感謝いたします。
本当にありがとうございました。
略歴
バングラデシュ国ダッカ市にあるアジア太平洋世界研究所 (APIGS) の研究教授。研究、及び教育の対象分野は本来的に日本を中心としたもの。変化のスピードが速く、容易ならざるグローバリゼーションの中にあるアジア、及び全世界での開発援助における日本特有の促進剤的な役割についてだけではなく、日本の社会文化、政治経済、国際関係、多国籍企業をも対象にしている。日本政府 (文部科学省) から奨学金を7年間にわたり支給され、東京にある二つの最高学府 (早稲田大学、一橋大学)で学位を取得したほか、多数の国際的な研究奨学金の支給を受けた。また、数多くの日本の一流奨学金交付団体から選ばれ、継続的に資金を受け、最先端の一連の調査研究を成し遂げた。この専門知識の形成と同時に、広範かつ有益に著名な学術研究専門誌に寄稿した。Japan Studies Review, Japan Studies Association Journal, Columbia East Asian Review, 『APCアジア太平洋研究』, Asia Pacific Social Science Review, Harvard Asia Pacific Review, Asia Pacific Review, Asia Europe Journal, Journal of International Development Studies, International Studies, World Affairs 等々。さらには、アジア太平洋圏の殆ど全ての国を訪れ、海外学術研究会議、研修会で論文を発表しているが、その大部分は日本についてのもの。
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